協創パートナーインタビュー|「N’s Create.」 代表取締役 丹野伸哉さん【前編】
株式会社仙台協立は、単に不動産賃貸業を営むのではなく、物件それぞれに魅力的な付加価値や、建物周辺の公共空間の活用を提案し続けています。そのためには、課題を共にし、ゴールを目指す「協創パートナー」の存在が欠かせません。
共に創る、協力して創る、仙台協立と創る。
COMPASSをはじめ、仙台協立ビルのリノベーションや企画を手掛けるN’s Create. (エヌズクリエイト)は、仙台市内を中心にリノベーションを主体とした様々な事業を展開しています。代表取締役の丹野伸哉さん(以下:丹野社長)は、仙台協立から相談をするチャレンジングな相談に対し「それを課題や負担ととらえずに、さらにチャレンジをするエネルギーに変えて、クリエイティブな提案をしたい」と、これまでのプロジェクトを振り返りながら、語ります。
2025年、新たに動き出したプロジェクトは「世界一美しいゴミステーションプロジェクト」。
完成品を一方的に提供するのではなく、住民・利用者・近隣の方々と共につくり上げ、長く活用していく協創の取り組みです。プロジェクト立ち上げの背景や、活動の詳細を伺いました。
中古リノベーションのさらなる普及を目指して
ー 会社の歴史、事業内容を教えてください。
2016年にリノベーションの会社として設立しました。事業内容は大きく分けて3種あります。リノベーション事業、店舗の企画・設計・デザインやプロモーション支援などを展開するデザイン事業、古くなったビルの再生・運営をサポートする事業です。
日本は戦後、スクラップ&ビルドのビジネスモデルが普及し、急成長を遂げました。一方、先進国は当時から既存の建物を活かし資産価値を高めていく傾向があったと認識しています。日本の人口減少が問題視されていく中で、いずれ日本も既存の建物を活用する様式に変化が必要だろうと考えていました。そうなった時に、リノベーションを担う企業や人材が不足している点に着目しました。
ー リノベーションに特化しての会社設立で、大きく建設業などと異なる部分を教えてください。
リノベーションと聞いて、一般の人の中には「建設仕事」と捉える方もいるかと思います。しかし、実際には不動産の知識、建築や企画・設計の知識など様々な専門知識が必要な業界です。
各事業のメンバーを集めチームを作ることもあるかと思いますが、縦割り社会の業界の垣根を超え、横断的に関わる会社が必要だと考えました。創業から10年間は、挑戦をし続けることで「リノベーション事業」がビジネスモデルとして成り立つかを見極める期間でした。
(仙台協立第1ビル|COMPASS)
ー 現在12期目となり、挑戦から次のステージへ進んでいるという認識で良いでしょうか。
そうですね。ここ数年は特にリノベーションの需要が高まってきていると感じます。人口が減ることで住宅購入の機会もゆるやかに減っているようです。一方で地価や人件費、建築コストは上がっています。
本格的に中古利活用をしていかなければいけない時代だと感じていますが、まだまだリノベーションは音楽業界で表すとインディーズ。中古不動産を活用してリノベーションするということが常識的で、世の中の一般的なインフラとしてサービスを普及させるためにも、「リノベーションをメジャーにしていく」という意識をもって事業をブラッシュアップしていきたいです。
ー 中古リノベーションというサービスが、より一般的で当たり前になるために必要だと考える部分をお聞かせいただけますか。
私たちが具体的に取り組んでいることは、リノベーションのサービスを提供するうえで、求められるニーズへの価値提供の顕在化です。一つ具体的な例をあげると、工事や作業内容をどのように取り組むかを”見える化する”こともその一つです。
特に、マンションのリノベーションなどは、単純にご依頼いただいたお客様と向き合うだけではなく、上下、左右の住人の方や管理人さんはもちろん、エレベーターを使う人や共有部、占有部いずれも「みんなの資産である」と認識した上で工事のルールなどを決めています。
私たちの会社のこと、どのようなルールで協力業者が取り組むか、どのような工事をするかなどをガイドブックのようにまとめて、多方面への配慮ができるよう取り組みを進めています。今までの10年間で怒られたり、指摘されたことがあった上で向き合う課題に出会えました。「お客様と自分たちが良ければいい」だけではなく、今後社会、業界全体に浸透できればと思っています。
不動産価値を最大化するパートナーになりたい
ー 仙台や東北にもリノベーション事業を手掛ける企業が増えてきていると感じています。N’s Create.の強みや、他社には見られない取り組みなどはありますか?
私たちの事業内容の1つにはビルの改修や再生事業として、不動産オーナー業にも取り組んでいます。リノベーションを依頼してくださるビルオーナーの皆さんと同じように、私たち自身も不動産を持っていることで資金調達のことや、収益を上げるための企画などオーナーさんと同じストレスを体感しています。この感覚があることで、部分最適にとどまらず、オーナーに寄り添った実践的な提案が可能です。これは一つの強みかと思います。
他社との大きな違いは、運営にも携わる機会が増えてきたということでしょうか。今の価値観、ライフスタイルニーズにあった素晴らしい建物が完成しても、運用されなくなっては意味がありません。「ひと、まち、自分たちを豊かにする」という企業理念と、「クリエイティブな組織になり、自分たちが暮らすまちを豊かにする」というミッション実現に向けて不動産事業だけではない取り組みを進めています。
ー 具体的に、運用している事業について、背景も交えて伺えますか?
一つは、保育園事業です。価値観やライフスタイルがアップデートされていく中で、共働きが当たり前になりました。ですが、共働きのご夫婦から挙がる、教育にもこだわりたいというニーズや、日曜日に開けられる保育園がほとんどないことから、そのニーズに見合った保育園の事業開発を行い展開しました。
次に、ホテル事業です。仙台駅周辺エリアには、ビジネスホテルやシティホテルが多く、価格が高い、安いを価値基準にしたホテルが主流になっています。宿泊者のニーズでもある、地域の魅力や風土を感じられるホテルがありませんでした。まだまだ、知られていない東北の魅力を発信する「新しい形のライフスタイルホテル」として、開発し、ローカルで活躍する、焙煎所を併設したカフェ(ロースタリー&カフェ)や東北の美味しい地酒(ワイン、日本酒)を扱うお店も併設されたホテルで宿泊するだけではなく、地域、世界に発信する場所として運営し続けてています。
チャレンジしたい思いに賛同し
さらに「挑戦的でクリエイティブ」と思われる提案をしたい
不動産事業・リノベーション事業だけではなく、企画や運用まで経験を積むN’s Create.と協創をすることで、仙台協立の挑戦の幅はさらに広がりを見せています。
ー 丹野社長が考える、協創パートナーのあり方を教えてください。
仙台協立の課題や問題を相談され、それに答えるというシンプルなものですが、氏家社長はいつも「いい課題」を出してきます。それが、なんとも嬉しいですね。
チャレンジングなことが多いですが、それを課題や負担ととらえずに、さらにチャレンジをするエネルギーに変えて、クリエイティブな提案をしたいという気持ちもあります。振り返ると、S FRONT(仙台協立第15ビル)は大きなチャレンジだったと感慨深いです。
ー どのような部分が大きなチャレンジでしたか?
一番は、貸し会議室だったビルをテナント(クリニック)が入居できるビルに用途変更(建物の使用目的を変更する手続き)した部分でしょうか。とても難しかった思い出があります。単純な商業テナントビルではなく、そこにしかない価値を明確化し、リーシング(テナント誘致)を担当する日本商事さんと協業しながら、キーテナントを誘致していただいたオレンジ薬局さんとの連携も必要でした。しかし、ざっくりとした商業ビルではなく、メディカルフロアのあるビルとしてテーマが絞られたビルが完成したことで、一つのロールモデルになった感覚があります。
仙台協立とは、同じビジョンとミッションを持っていると思っています。
私たちは、事業者様の気持ちや思いを一番理解できるクリエイティブパートナーとして今後も伴走していきたいです。
N’s Create.
住所:〒980-0011 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目3-21 上杉NSビル
公式WEB:https://n-cre.jp/